
子供の中には特定の音や大きな音などに異常に恐がるような子がいます。
大きな音にびっくりするくらいは誰にでもあることですが、異常なまでに恐怖や不安を覚えたりパニックを起こすような場合は聴覚過敏が疑われます。
私の息子のうしゃおくんも小さい頃は聴覚過敏で、色々なことに苦労しました。
しかし幸いなことに、うしゃおくんの聴覚過敏は成長とともに少しずつおさまっていきました。
今回はそんなうしゃおくんの聴覚過敏が良くなっていったまでのお話をまとめていきたいと思います。
聴覚過敏の原因
大人の聴覚過敏には耳の病気や精神的な病気、ストレスなどが原因の場合もありますが、小さな子供の場合はたいてい先天的なものです。
よく発達障害の子は聴覚過敏や他の過敏症が出やすいと言われていますが、もちろん聴覚過敏だからといって発達障害だと決まったわけではありません。
とはいえ、うしゃおくんの場合は病院で診断を受けたわけではありませんが、なんとなく軽い発達障害の特徴を感じていたので、おそらくは発達障害の症状のひとつであったと思います。
ただなぜ発達障害の子供に感覚過敏が起こりやすいのか、その原因はいまだに不明だそうです。
脳機能の問題なのでしょうが、人間の脳は本当に不思議なものですね。
聴覚過敏の症状~うしゃおくんの場合~
うちのうしゃおくん、0歳時代はそれほど感じなかったのですが、1歳、2歳と大きくなるにつれてだんだん色々な音を嫌がっていることがわかるようになってきました。
そんな時はだいたい泣きながら耳をふさぎます。
一番ひどかったのは2~3歳くらいだったと思います。
ただ不思議なことに、大きな音が全部嫌いなわけじゃないんですよね。
電車の音とかお祭りの雑踏のざわめきとかは大丈夫でした。
救急車の音は大丈夫でも消防車の音はダメ。
トイレのハンディドライヤーの音はダメだけど家のドライヤーは大丈夫、とか。
他の人にはまったくわかりませんが、当人が恐怖や不安を感じる音はその当人にしかわからないようです。
ちなみにうしゃおくんが嫌がっていた音はこんな感じ。
公衆トイレのハンディドライヤー
掃除機
消防車
マイクなどで拡声された人の声
防災放送
ゲームセンター
イベント会場などの音楽(家のテレビ、CDは大丈夫)
ハッピーバースデーの歌
近くで聞く打ち上げ花火の音
男の人の怒鳴り声
まあ他にも細かいものが色々ありましたが、こんな感じです。
自分の嫌な音が聞こえると私に抱っこされてじっとかたまっているか、泣いてパニックを起こすかのどちらかになってました。
聴覚過敏で困ったこと
聴覚過敏で困るのは、やはり外出先でパニックを起こされることです。
また音楽ガンガンのイベント会場や遊園地、水族館のショーなども怖がってしまうので、お出かけ先がだいぶ限られてしまうので「連れていってあげたいな」と思っても行けなかったり、喜ぶだろうと連れて行ったのに怖がって動けなくなってしまったり、ということもよくありました。
しかし何よりも困ったのが集団生活です。
うしゃおくんは幼稚園の2歳児クラスから通っていたのですが、幼稚園は子供たちのはしゃぐ声、泣き声、甲高い声など、とにかく音にあふれています。
お遊戯の歌などは大丈夫だったのですが、とにかく困ったのが「ハッピーバースデー」の歌です。
2歳児クラスでは誕生日が近いお友達を前に呼んで、みんなでハッピーバースデーの歌を歌うのですが、うしゃおくん、この歌がはじまると途端に泣き出すんです(^^;)
本当になんでなのか意味不明なんですが、この歌だけダメでした。
そのため、みんながハッピーバースデーを歌っている間、うしゃおくんは私が抱っこして教室の外へと連れ出していました。
一番悲しかったのが2歳児クラスの運動会。
2歳児クラスは園庭ではなくホールで行ったのですが、先生たちのマイクの声や色んな人の声が怖かったのか、ホールには一歩も入れず。
無理にいれようとすれば泣きわめくので、運動会の間中ずっと私が抱っこしてホールの外でうろうろしていました。
ホールの中では楽しそうにかけっこをする子供たち。
どうしてうちの子だけ・・・とこの時ばかりは少し涙が出たものです。
我が家の聴覚過敏の対処法
毎日一緒に生活をしているとだいたい何の音が嫌なのか、嫌な時の様子などがわかってきます。
そうやってうしゃおくんの苦手な音を把握しておいて、恐怖を感じる前に私がうしゃおくんの耳をふさぐようにしていました。
そして「大丈夫だからね。ママが耳ふさいでるからね」と言って耳をふさぎながらぎゅっと抱きしめていてあげると、不安症状やパニック症状はだいぶおさえられました。
ただ私が一緒にいられる時はいいのですが、一番心配なのはやはり幼稚園でした。
3歳からは正式入園したので、ずっと一緒にいることはできません。
そこで幼稚園ではイヤーマフを持参することにしました。
そして担任の先生にお願いをして、ホールでの集会などの時にはそのイヤーマフをつけて参加するようにしました。
先生に様子を聞くと、顔はだいぶ不安そうだけどイヤーマフをつけていると集会なども一応は参加できるということでした。
うちのうしゃおくんはこのイヤーマフのおかげでなんとか園生活を送ることができました。
徐々に改善されていった聴覚過敏
幼稚園で過ごすようになり、うしゃおくんの聴覚過敏は徐々に改善されていきました。
慣れたということもあったのかもしれません。
一番心配だったのがやはり運動会ですが、たくさんの音があるにも関わらず、年少の運動会は最後まで立派に参加できました!
2歳児クラスの先生に「うしゃおくん、運動会最後まで出れましたね」と笑顔で言われた時には嬉しくて泣いてしまいました。
そうして徐々に聴覚過敏も改善されていき、年少さんもそろそろ終わりの頃。
自分から「もうこれいらない」とイヤーマフを外したのです!
これにはびっくり。
そしてこれを機に聴覚過敏はどんどん改善されていきました。
年長さんの頃には今までダメだった音もほとんど克服し、9歳の現在ではコンサートも花火もゲーセンも、なんでも大丈夫になりました。
ただひとつだけ、防災放送の「ピンポンパンポーン」の音だけがなんとなく不安になるらしく、あの音だけは今でも苦手ですが、ちょっと「イヤだな」程度ですんでいます。
ずっとこのままだったらどうしようと悩んだ時期もありましたが、自然と改善されて本当に安心しました。
まとめ
聴覚過敏の子供に対して、私がしてあげたことはまとめると次の4つになります。
・子供が苦手な音を把握する
・イヤーマフやイヤホンを活用する
・できるだけ苦手な音の場所を避ける
・不安や恐怖を感じていたら抱きしめて「大丈夫」と落ち着かせてあげる
聴覚過敏の症状は人それぞれです。
うしゃおくんは成長とともに治りましたが、大人になるまで続く人もいるかもしれません。
ただ、少なくとも言葉で説明できるようになれば、何が嫌でどういう気持ちになるのかを口に出して伝えられるので、本人はどうしてほしいのかが親にもわかるようになります。
それまでは、子供が聴覚過敏かもしれないと思ったら、ひとまずは子供の不安をとりのぞいてあげることを第一に考えてあげましょう。
また、親としても色々不安になることもあると思いますが、一番辛いのは子供本人だということを忘れずに、長い目で見守ってあげられるといいですね。